前回はコンクールを受けると決めてから本番までの流れを説明しました。
では、なぜこれが「本番でしか得られない事」に繋がるのでしょうか?
コンクール会場に初めて行った子どもはまずその空気に圧倒されます。ピリピリと張り詰めた緊張感。誰もがライバル=敵。これは私たち大人なら誰もが1度は経験した事がある、あの『受験』の空気にとてもよく似ています。その緊張感の中で自分の力の100パーセントを出し切らなければならないのです。自分が本番でどのような状態になるのか、またそれが自分にとって不利なものならば、そうなってしまった時にどのようにすれば対処すればより良い状態にできるのかという事は本番でしかわかりません。コンクールを受けるという事は将来誰にでも訪れる数々の「本番」に対しての心構えを学ぶ事でもあるのです。
さて、ここで1つ。 前回お話しした「コンクールの目的が賞を取る事になってはならない」という事についてです。 本番に向かって努力して、予選通過や賞をもらえるという事になればもちろん本人の自信に繋がる事でとても良い事ではあります。
しかし、皆それぞれが努力をして本番を迎えるわけですが、本番の空気に飲まれてしまい力を出し切れなかった子、失敗してしまい評価があまりよくなかった子、様々な理由で選ばれない子ども達が数多くいるのも事実です。選ばれる子がいるという事は選ばれない子もいるという事です。 それでもコンクールを受ける事によって、限られた時間の中で(逆算する力、やりたい事を我慢してピアノに向かう時間を作る)最大限の努力をして(できない自分を受け入れ、向き合い改善していく)本番の緊張した空気の中で自分の演奏をして帰ってくる(どんな状況でもしっかりと自分を出し切る)というだけで沢山得られるものがあるのです。それだけで素晴らしい事なのです。 保護者の方はそれらの事を念頭に置いてコンクールに向き合わなければ、賞を取れなかった=無駄な時間、努力だった。うちの子はダメだ。という結果にしかならないのです。そうなってしまうと親子共に不幸な思い出にしかならないのです。
そうならないためにもコンクールを受けるにあたり、先生と相談してお子様と目標を決めて取り組む事をお勧めします。例えば「毎日リズム練習を5種類やる」「この曲を♩=120のテンポで弾けるようになる」「強弱をつけた演奏ができるようになる」「16分音符を転ばないで弾けるようになる」などその子に合わせたもので良いのです。その小さな目標を達成できたら沢山褒めてあげてください。そうすると子どもはまた次に向かう力を生み出す事ができるのです。
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